食品ロスってなに?
みなさんは、食品ロスという言葉の正確な意味を知っていますか??
食品ロスとは まだ食べられるのに捨てられてしまう食品 のことです。
食品ロスは、事業活動にともなって発生する事業系食品ロスと各家庭から発生する家庭系食品ロスに分けられます。
このうち事業系食品ロスの発生元は、次の4つに分類されます。
①食品製造業……原材料を購入し、工業規模で食品・飲料の製造を行い、製造した製品を販売することで収益を得る事業
②食品卸売業……メーカーと小売業をつなぐ食品中間流通の役割を担う事業
③食品小売業……他者から購入した商品を、そのままの形で最終消費者に販売する事業(コンビニ、スーパーなど)
④外食産業………家庭外の食事機会に対して食品の提供とサービスを行う業種の総称 (ファミレス、居酒屋など)
ちなみに、食品ロスに似た言葉である「食品廃棄物」は、食品の製造・加工・流通・消費などの際に廃棄される食品の総称です。この中で、食べられるのにも関わらず捨てられてしまうものが「食品ロス」と呼ばれています。
食品ロスの定義
日本の食品ロスの実態
日本の食品ロス発生量は、農林水産省と環境省によって、毎年調べられています。
ここからは、その調査の結果を見ていきましょう。
下のグラフは令和元年度の食品ロスの量を示したものです。
これによると、1年間に発生する食品ロスの量は なんと522万トン!
国民1人当たりに換算すれば、1日に約113g(お茶碗約1杯分=約35円)
年間にして約41kg(年間1人当たりのお米の消費量に近い量=約12,735円)もの量が廃棄されています。
また、事業系食品ロスの方が家庭系食品ロスよりも多いという結果になっています。
次に、直近7年間の調査結果をまとめた、下のグラフを見ていきましょう。
グラフから、食品ロス量は減少傾向にあり、最新のデータは過去最少の値となっています。
事業系食品ロスについて見ていくと、食品ロスが多い順に
食品製造業、外食産業、食品小売業、食品卸売業となっています。
全体的にロスは少なくなってきていますが、まだまだ改善の余地があるといえるでしょう。
食品ロスはなぜ問題なの?
食品ロスが問題視される理由としては、次の4つが挙げられます。
①エネルギーのムダになっているから
まだ食べられるのに捨てられる食品=「食品ロス」が発生するということは、その分食品がムダに(生産されなくてもよかったのに)生産されてしまっていることを意味します。
食品自体がムダになるのはもちろんのこと、食品製造のために使われたエネルギーもムダになってしまっているのです。
この状況が様々な場所で長期的に続いてしまうと環境問題へと発展してしまう可能性もあります。
②環境に負荷がかかるから
基本的に食品ロスは可燃ごみとして処理されます。そのため捨てられる食品が増えるほど、処理により発生するCO2(二酸化炭素)や焼却灰の排出量が増加することになります。CO2は地球温暖化の原因物質であり、環境への負荷はまぬがれません。
③お金のムダになるから
食品ロスを処理するために、年間8000億円~1兆円の税金を使っているというデータが あるように、処理にはかなりのコストがかかっています。また、4人家族の場合には年間6万円分の食品を捨てていると言われています。
家庭単位でみると、食品ロスを削減することは節約にもつながるといえるでしょう。
④食の格差が発生しているから
栄養価の高い食事を不自由なくとれる人がいる一方で、毎日食べるものに苦労している人もたくさんいます。
実際、世界の9人に1人は栄養不足に、7人に1人は飢餓に苦しんでいると言われています。
日本国内でみても、食の「格差」は発生しています。 みなさんは相対的貧困という言葉を聞いたことがあるでしょうか。
その国や地域の平均的な生活水準と比べて所得が著しく低い状態のことで、日本における相対的貧困の割合は増加傾向にあります。こうした家庭では「節約のために食費を抑えよう」とすることが多いそうです。
さらに深刻なのは子供がいる世帯。2014年に行われた『子どもの食生活調査』では、食品支援を必要とする子どものいる家庭269世帯の約7割が、一日1人あたり400円未満の食費で生活していることが分かりました。
日本国内でも、こうした「食の不均衡」が見られるのです。
このように、食糧獲得に地域差・個人差があることも、食品ロスが問題視される要因の1つとなっています。
食品ロスを減らす取り組み
こうした現状をうけて、国や自治体、企業などは積極的に食品ロス削減のための取り組みをおこなっています。
ここでは、国がおこなっている取り組みを2つご紹介します。
①法整備
日本には、食品ロスに関する法律として「食品リサイクル法」と「食品ロス削減推進法」が制定されています。
食品リサイクル法は、平成12年に制定された循環型社会形成推進基本法の中に組み込まれている法律のうちの1つです。食品ロスの削減を含めた発生抑制を優先事項とし、その上で発生してしまったものについてはリサイクル等をおこなうことを推進しています。なお「前年度の食品廃棄物等の発生量が100トン以上の者に対する勧告・公表・命令・罰金」を科すことが明記されています。
食品ロス削減推進法は令和元年に制定された法律です。先ほどの法律に基づいて食品ロスを削減することを謳っていますが、それと同時に「消費者や事業者がそれぞれの立場で主体的にこの課題に取り組めるようにすること」「まだ食べられるものを、廃棄することなくできるだけ食品として活用すること」を目標に掲げています。
②商慣習の見直し
食品小売業界には、賞味期限の1/3を超えたものを入荷しない、2/3を超えたものを販売しない、という
1/3ルールが存在しているのをご存じでしょうか。
2012年に農林水産省の主導のもと「食品ロス削減のための商習慣検討ワーキングチーム」が発足し、以降、商習慣の緩和に向けた取り組みが進められてきました。農林水産省では納期期限見直しの対象業種・品目の拡大や加盟社以外への普及啓発を目標としています。
その他の企業や自治体の取り組みは、随時ホームページ内で紹介していきます!!