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  • 執筆者の写真小野佑真

家庭の食品ロスを減らすには?

日本では、まだ食べられるのに捨てられてしまう食品のことを「食品ロス」と呼んでいます。解決すべき社会課題の1つとして、最近ではメディアで取り上げられることも増えてきたように感じます。この記事では、そんな食品ロスのうち「家庭で発生してしまうもの」にスポットライトを当て、ロスを減らす方法を紹介していきます。


キッチンと食材


●データから見る食品ロス●


農林水産省が2022年6月9日に公表した推計値によれば、令和2年度(2020年度)に発生した食品ロスは522万トンにのぼります。いきなり「万トン」なんていう大きい単位を出されてもピンとこないと思うので、身近なものに換算してみることにします。


例えば、水が入った500mlのペットボトル。522万トンは、このペットボトル104億本分とほぼ同じ重さです。これを、日本の人口で割ってあげると84という数字がでます。つまり、発生する食品ロスの「重さ」にだけ注目するならば、それは、国民一人ひとりが年間84本のペットボトルを、蓋を開けることなく捨てているのと同等だといえるのです。

また、農林水産者では「国民一人あたり、毎日茶碗約1杯分のご飯を捨てている」という例えを使って、私たちがどれくらいの量のロスを生み出しているかを、分かりやすく表現しています。



ところで、日本の食品ロスは、家庭で発生する「家庭系食品ロス」と事業を通して発生する「事業系食品ロス」の2種類に分けられます。令和2年度(2022年度)のデータでは、全体の約47%にあたる247万トンが、家庭で発生したものだと推計されています。




また、過去9年間の家庭系食品ロスの推移は、下のグラフのようになっています。




上のデータから、2つのことが分かります。1つは、家庭の食品ロスは年々減ってきていることです。平成24年度に312万トンあったロスは、令和2年度では247万トンまで減少。その差は約65万トンと、平均すると、1年あたり約8万トン減少しています(年平均減少率は約2.9%です)。

もう1つは、家庭系食品ロスが全体に占める割合はほぼ変化していないことです。先ほど述べたように家庭から発生するロスの「量」は減ってきていますが、食品ロス全体に占める「割合」が下がっているわけではありません。



●家庭から出るロスの種類●


家庭から出るロス、いわゆる家庭系食品ロスは次の3つに分類されます。


1. 食卓にのぼった食品で、食べ切られずに廃棄されたもの(食べ残し)
2. 賞味期限切れ等により使用・提供されず、手つかずのまま廃棄されたもの(直接廃棄)
3. 厚くむき過ぎた野菜の皮など、不可食部分を除去する際に過剰に除去された可食部分(過剰除去)

引用:環境省「食品ロスポータルサイト」

それぞれどのくらいの量が発生しているのかを見てみると、直接廃棄が最も多く、食べ残し、過剰廃棄と続きます。




●食品ロスを減らす取り組み●


ここまで、公的なデータを用いながら、日本の食品ロスの現状、中でも家庭の食品ロスについて詳しくみてきました。ここからは、そんな家庭で発生してしまう食品ロスを減らす取り組みを3つご紹介します。


1. 食べ切れる分だけ調理する

この取り組みは「食べ残し」の削減につながるだけではありません。必要な分だけ調理すると、調理に使われる食材が減るので「過剰除去」を減らすことが期待できます。また、エネルギーや水の使用量も少なくなるので、地球に優しい取り組みともいえるでしょう。


2. 必要な分だけ購入する

必要な分以上に食材を買ってしまい、全部食べきれなかった。そんな経験をしたことのある方もいるのではないでしょうか。買ったのに捨ててしまうとなると、食品ロスを生むだけでなく、お金の無駄遣いにもなってしまいます。そうならないために、買い物に行く前に「購入メモ」を作成したり、レジを通す前に「本当に必要な商品」なのかを吟味してみるとよいでしょう。空腹の状態で買い物に行かない、というのもいいかもしれません。必要な分だけ購入することは、「直接廃棄」の削減につながる取り組みです。


3. 不可食部を食べてみる

不可食部とは、野菜や果物の皮や魚の皮など、普通は調理の際に取り除いて捨てる部分のことです。言葉から「食べられない」印象を抱いてしまいがちですが、実は、全く食べられないわけではありません。例えば、筆者はキウイの皮やイチゴのヘタを捨てずに食べています(他の人に話すとよく驚かれます 笑)し、野菜の皮ごと調理なんていうのも耳にすることがあります。このように「食べられない(不可食)と思われがちだけど、実は食べられる部分」を捨てずに食べると、「過剰除去」を減らすことができます。ある種の冒険ともいえる取り組み。みなさんもいろいろな不可食部に挑戦してみてはいかがでしょうか?


※じゃがいもの芽など「本当に食べられない」部分もありますので、口にする前にしっかりと調べることを強く推奨します



●まとめ●


今回は、日本の食品ロスの現状や家庭の食品ロスの種類、食品ロスを減らす取り組みをご紹介しました。最後に挙げたのは、数多ある取り組みの中のほんの一部にしか過ぎません。皆さんの生活スタイルに合った「無理なく行えるもの」から実践してみてほしいと思います。



 

●参考文献●


・環境省,「我が国の食品ロスの発生量の推計値(令和2年度)の公表について」,2022年6月9日,(https://www.env.go.jp/press/111157.html).


・環境省,「食品ロスポータルサイト」(https://www.env.go.jp/recycle/foodloss/index.html).

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